パソコン三昧 やさしい講座 〜第85回 重要データの改ざんを防止する(エクセル)〜

重要データの改ざんを防止する(エクセル)

 エクセルで作った重要なデータを勝手に編集されると困る。ファイルを自由に閲覧されるとマズイ・・・。そんなときは、”パスワード”でデータやファイルを保護しよう。うっかりミスによる誤編集や、悪意のある第三者によるデータの改ざん・漏洩を防御しよう。
 パスワードを設定した場合は、パスワードを忘れると、シートの保護の解除やファイルを開くことができなくなるので注意が必要です。

シート全体の編集を禁止する

 先ずは、シートの書き換えを防御する。「商品リスト」のように、多くの社員が参照するファイルを誤って書き換えないようにする。これには、「シートの保護」機能を使う。

●「シートの保護」を設定する

図1 編集を禁止したいシートを表示して、「校閲」タブの「シートの保護」をクリックする(@A)。
(エクセル2003では、「ツール」メニューの「保護」→「シートの保護」を選ぶ。)
図2 「シートの保護」画面で、「・・・セル範囲の選択」だけにチェックが付いていることを確認する(@)。パスワードを入力して、「OK」をクリックする(AB)。「パスワード確認」画面で、再度パスワードを入力して「OK」をクリックする(CD)。

●「シートの保護」を確認する

図3 「単価」の列を編集しようとすると(@)。警告メッセージがでて編集ができない(A)。

●入力可能セルにデータを入力する

図3-1 入力可能なセルにデータを入力する。「A10」セルに「P506」と入力した(@)。「B10,C10」セルに自動表示された(A)。

●「シートの保護」を解除するには

図4 「校閲」タブの「シート保護の解除」をクリックする(@A)。「シート保護解除」画面で、図2で設定したパスワードを入力して「OK」をクリックする(BC)。「シートの保護」は解除される。
(エクセル2003では、「ツール」メニューの「保護」→「シート保護の解除」を選ぶ。)

●編集不可の状態で書式を設定したい

 シート全体を編集禁止すると、セルの選択はできるが書式設定機能は無効になる。書式設定機能を有効にするには、「セル書式設定」にチェックを付けて、「シートの保護」を実行する。

図5 シートの保護を設定すると、書式設定機能が無効になる。
図6 「シートの保護」を設定する際に、「セルの書式設定」にチェックを付けて(@)、シートの保護を設定する(A)。
図7 データの編集は不可だが、書式設定は可能になる。

●「シートの保護」の設定について

 「シートの保護」設定時に、「・・・セル範囲の選択」にチェックを付けておくと、保護したシートのセル選択だけは可能になる。もしパスワードを忘れても、表をコピーして、ほかのシートに貼り付ければ、編集可能な状態に復旧できる。また、「・・・セル範囲の選択」以下にある「セルの書式設定」〜「行の削除」の機能も使用できる。「・・・セル範囲の選択」のチェックを外して、「シートの保護」を設定した場合は、シートのセル選択もできなくなり、「セルの書式設定」〜「行の削除」の機能も無効になる。また、パスワードを忘れると、「シートの保護」の解除ができず、自分自身も編集ができなくなるので、注意が必要です。
 パスワードを空白のまま「シートの保護」を設定すると、パスワードの入力なしに誰でもが「シートの保護」を解除できる。これでは、データの改ざんは防げないが、うっかりミスによるデータの書き換えを防ぎたいだけなら、パスワードを指定せずにシートの保護を実行してもいいのではないでしょうか。

図8 「シートの保護」を設定するには、「校閲」タブの「シートの保護」をクリックする(@A)。「シートの保護」画面で、「・・・セルの範囲の選択」のチェックを確認する(B)。「パスワード」を指定する(C)。「OK」をクリックするD)。
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特定のセルだけ入力を可能する

 納品書や請求書は、一部のデータを書き換えて使いまわす。シート全体を編集禁止にしてしまうと、使いまわせない。宛先や日付、品番欄など、その都度データを書き換えたいセルは編集できるように設定する。

●計算式は編集禁止でうっかりミスを防ぐ

図9 「納品書」シートの「品名」「単価」「金額」「合計」のセルには、「数式」が入力されている(A)。「品名」「数量」を入力すると自動表示される仕組みになっている。例えば、B7セルには「=IF(A7="","",VLOOKUP(A!,商品!$4:$D$11,2,FALSE))」が入力してあり、A7セルに「品番」が入るとそれに対応する「品名」が、自動表示される(@)。
 数式を誤って変更しないようにするには、シートの保護が有効だが、「宛先」や「日付」などは入力できるようにしたい。

●編集を許可するセルのロックを解除する

 入力欄(セル)のみ編集を許可する。これは、シートの保護を設定する前に、入力欄の”編集ロック”を解除しておくことです。

図10 その都度書き換えてたいセルは、事前に"編集ロック”を解除しておく。先ず、「宛先」「日付」「担当」「品番」「数量」のセルを選択する(@A)。その中のいずれかを右クリックして(B)、表示されるメニューの「セルの書式設定」をクリックする(C)。
図11 「セルの書式設定」画面が表示されるので、「保護」タブをクリックして(@)、「ロック」のチェックを外して(A)、「OK」をクリックする(B)。
これで、ほかのセルのロックは初期設定のオンのまま、編集OKするセルのロックだけをオフにできた。
図12 実際に、”編集ロック”のオン/オフを有効にするには、「校閲」タブの「シートの保護」をクリックする(@A)。「シートの保護」画面で、「・・・セルの範囲の選択」にチェックが付いていることを確認する。パスワードを入力して「OK」をクリックする(B~D)。「パスワードの確認」画面で、再度パスワードを入力して、「OK」をクリックする(EF)。

●実際に試してみる

 納品書の「単価」を編集する。

図13 納品書の「単価」の欄を編集しようとすると(@)、「警告」メッセージがでて(A)、編集できない。
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特定の人だけが編集できるようにする

 次に、セルを編集する人を制限する。「アルバイトスタッフ査定」のように、「査定」欄の編集を査定の権限を持つ社員だけに 制限をする。これは、「査定」セルにパスワード」を設定すればよい。

●「範囲の編集を許可」を設定する

 「査定」欄のセルにパスワードを設定する。

図14 「査定」欄のセルを選択して(@)、「校閲」タブの「範囲の編集を許可」をクリックする(AB)。
(エクセル2003では、「ツール」メニューの「保護」→「範囲の編集の許可」を選ぶ。)
「範囲の編集の許可」画面で、「許可」をクリックする(C)。
図15 「新しい範囲」画面で、「選んだセルの範囲」が表示される(@)。「タイトル」欄に分かりやすい名前を入力する。ここでは「査定入力」とした(A)。パスワードを入力して(B)、「OK」をクリックする(C)。「パスワード設定」画面で、再度パスワードを入力して、「OK」をクリックする(DE)。「範囲の編集の許可」画面で、「査定入力」のセルが登録されたことを確認し(F)、「シートの保護」をクリックする(G)。
図16 「シートの保護」画面で、「・・・セルの範囲選択」のチェックが付いていることを確認する(@)。パスワードを入力して、「OK」をクリックする(AB)。「パスワード確認」画面で、再度パスワードを入力して、「OK」をクリックする(CD)。

●編集を実行する

 「査定」欄を編集する。

図17 「査定」欄を編集した(@)。「パスワードの要求」メッセージがでる(A)。パスワードを知っている場合は、図15で設定したパスワードを入力して、「OK」をクリックする(BC)。パスワードを知らないと編集はできない。

●”範囲パスワード”設定を解除するには

 最初に「シート保護の解除」を行った後、「範囲の編集を許可」を実行する。

図18 「校閲」タブの「シート保護の解除」をクリックする(@A)。「シート保護の解除」画面で、図16で設定したパスワードを入力して「OK」をクリックする(BC)。
図19 「校閲」タブの「範囲の編集を許可」をクリックする(DE)。「範囲の編集の許可」画面で、「削除」をクリックして、「OK」をクリックする(FG)。
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このページは、下記の書庫を参照しました。
 日経PC21 発行 日経BP社2013 201304 (P110-P115)

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